2年前の短い期間、少なからず縁のあった彼の人。
事業に失敗。
あたしが知り合ったのは、その後処理をしているときだった。
思っていることや考えていることをあまり言葉にしない人だったので、
あたしは事業に失敗するということの重大さを全く汲み取れなかった。
当時その人は、常に現金や貴重品の一切を肌身離さず持ち歩いていたが、
今にして思えば、必要以上になにかを警戒している風だった。
ほかにも腑に落ちないシーンを目の当たりにしたことがあった。
いつも原因不明の頭痛を抱えていた。
言葉に出さないだけで、深刻さは表にも滲み出ていたんだろうなと。
でも、当時溺れていたあたしの目には、
自分と相手との関係以外にはなにも映っていなかった。
うーん・・・別れ際にあたしに向かって「自分のことしか考えていない」と言った
その言葉の意味が、今更ながら身に沁みてわかるな。
なんて思いやりのない女。
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